ダニについてどこまで知っていますか?
相手は見えないダニです。
やみくもなオリジナルの対策では効果がない可能性があります。
結果、鼻づまりや鼻炎で毎日のように病院で処方されたアレルギーを抑える薬を飲むなんてことに。
ダニアレルギーは乳幼児期に最も発症確率が高いです。
大切なお子さんがダニアレルギーを発症しないように注意したいですよね。
今からでも大丈夫です。
ダニの特徴や生態を知ることは、ダニ対策の近道になります。
この記事では、ダニに関する論文からダニの生態や特徴を説明していきます。
それでは早速みていきましょう。
ダニの種類と特徴
屋内に生息するダニは約40種類いるといわれています。
約40種類のすべてのダニが人を刺したりアレルゲンとなっているわけではありません。
※ アレルゲンとは、アレルギーの原因のこと
ここでは特に注意したい3種類のダニを紹介します。
チリダニ
屋内に生息するダニ全体の約80%以上をしめるのがチリダニです。
チリダニはアレルギー性ぜん息や鼻炎の原因となるダニです。
最も注意すべきダニがこのチリダニです。
室内のホコリの中や布団、畳などに棲息します。
大多数を占めるのがチリダニ科(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニなど)です。
空気中から水分を吸収する能力が高いため最も増殖しやすいです。
人の皮膚から出るアカ・フケや食べカス、カビなどを食べます。
相対湿度が50%未満の室内なら増殖できません。
ただし、人が使った寝具などは汗などで高湿度となります。
すると冬でもチリダニは増殖が可能になります。
ツメダニ
ツメダニは屋内に生息するダニ全体の5%程度です。
ツメダニは人を刺します。
かゆさは1週間ほど持続し、皮膚炎に赤いぽつぽつができます。
高温多湿の夏に多く発生し、畳などに多く棲息します。
ツメダニはチリダニやコナダニをエサとします。
エサとなるチリダニが増えるとツメダニも増えていくので注意が必要です。
逆にツメダニによる虫刺され症状が出てきたら、
アレルゲンとなるチリダニが大繁殖している可能性が高いですね。
コナダニ
コナダニは屋内に生息するダニ全体の2%程度です。
コナダニは低温多湿に強く冬の窓際などの結露箇所でカビを食べて増えます。
食品害虫ともいわれ高湿度でカビの生えた食品にも発生します。
例えば、小麦粉やお好み焼き粉などの粉物や砂糖、チーズ、味噌、医薬品など様々です。
開封済みの古いお好み焼き粉は注意が必要ですね。
ダニが繁殖していることに気づかず、お好み焼きが原因でアナフィラキシーショックを引き起こす事例もあります。
アナフィラキシーは命を落とす可能性もあり注意が必要です。
よく乾いた食品にコナダニは発生しません。
ダニアレルゲンが最も増加する危険な時季
9月から10月にダニアレルゲンは最も増加します。
9月頃から気温も下がり乾燥してくるため生きたダニは減少します。
その反面、アレルゲン(死骸など)は大量に残ることになります。
近年の日本は一年を通してダニが生息しやすい環境が整ってきています。
なぜなら、高気密高断熱の住宅環境が増えてきたためです。
ダニが最も繁殖する6~8月、ダニアレルゲンが最も増加する9月~10月は特にダニ対策を意識していきたいですね。
ダニが繁殖する条件
ダニが繁殖するには次の3つの条件が整うと爆発的に増えます。
- 高温多湿であること
- エサが豊富であること
- 住み家が整っていること
それぞれ解説します。
1. 高温多湿であること
温度20~30℃(特に25~28℃)で良く繁殖します。
湿度60~80%を好み、日本の梅雨明けから夏にかけての気候は好環境で爆発的に繁殖します。
2. エサが豊富であること
ダニのエサには、次のようなものがあります。
- ヒトのフケや垢
- 食べかす
- ホコリやカビ
- ダニの死がいやフン
何でも食べますね。
3. 住み家が整っていること
ダニが卵を生む場所は、次ような場所です。
- 畳
- 絨毯やカーペット
- ふとんや枕などの寝具
- ぬいぐるみ
- 家具のすき間
- 部屋の隅
- 布製ソファー
- カーテン
- etc
どこも掃除が十分に行き届きにくい場所がダニのホームになります。
ダニと湿度の関係
湿度コントロールは重要です。
なぜなら、ダニは身体の表面積が大きく体内の水分が失わされやすい構造だからです。
そのため室内のダニを制御するには、湿度コ ントロールが大切になります。
温度25 ℃で湿度条件を設定し、ダニの増減の変化を調査したデータがあります。
【快適環境】湿度60~80%でダニは増加しやすい
【高湿度環境】湿度90%以上ではカビが発生し、カビとダニが拮抗し増加が抑えられる
【低湿度環境】湿度50%以下では体内の水分が抜け活動できなくなり数が減少する
この結果から湿度60%以上でダニは繁殖しやすいことが分かりますね。
湿度が上がりやすい季節は梅雨が始まる6月から夏の8月頃です。
上手に湿度コントロールができればダニの発生を抑えられます。
ダニの発生場所や生息数
お部屋のどんな場所に、どれだけのダニがいるか調査した結果です。
もちろんすべてのご家庭に当てはまるわけではありません。
場所 | ダニ生息数 | 内部のダニアレルゲン数 |
畳 | 50~1000 | 1,000,000~10,000,000 |
カーペット | 2500 | 100,000~2,000,000 |
畳+カーペット | 3500 | |
掛け布団(綿) | 400 | 100,000~300,000,000 |
シーツ | 200 | |
毛布 | 700 | |
ぬいぐるみ | 1800 | |
フローリング | 50 |
内部の数値はダニの死がいも含むので莫大な数値になっています。
長年使っている布団には膨大なダニアレルゲン含まれていることが分かります。
最も注意したいのはこちらです。
この組み合わせはダニ養殖場を自ら作っていることになります!
心当たりがあるなら今すぐカーペット類は外しましょう。
理想のダニの数
ダニは完全に駆除することができますか?
ダニの完全駆除はほぼ不可能です。
完全駆除は諦めましょう。
ここでは適切なお手入れを心がけることで理想のダニ数の目安をお伝えします。
カーペット | 300匹/㎡以下 |
寝具 | 100匹/㎡以下 |
これはいずれも表面のダニ数ですね。
この水準でダニの数を抑えることが理想です。
先ほどのダニ数の調査結果と比べてもだいぶ少ないことが分かると思います。
ダニの繁殖スピード
室内ダニの80%はチリダニです。
ここではチリダニの繁殖スピードを解説します。
もっと具体的にダニの増加を検証してみました。
【環境】
- 過去10年間の平均気温と相対湿度から検証対象月を抽出
- ダニが繁殖しやすい気温20℃以上、湿度60%以上
【ダニの増加する条件】
- 初期のダニ数:100匹
- 常に半分(1/2)はメスとする
- 1週間に8個の産卵を寿命まで続ける
- 寿命3か月
ダニ発生注意指標に着色した5月~10月までダニが増加し続けるとします。
元々100匹だったダニが活動的なピーク頃の8月後半には100万匹を超えます!
4か月で10万倍に増えてしまいますね。
初期のダニ数100匹はかなり少ない数にしています。
これが初期のダニ数1,000匹としたら8月には1千万匹(100万倍)まで増えることになりますね。
いずれにせよ1シーズン放置すると恐ろしい数のダニが繁殖することが分かりました。
また、お手入れをしないと毎年これだけのダニアレルゲン(ダニの死がいやフン)が蓄積します。
一年で秋が最もダニアレルギー発症率が高い理由
秋になるとダニアレルギーを発症する人が多くでます。
この原因は押入れにしまってあった毛布や掛け布団をいきなり使用するからです。
押し入れにずっと仕舞っていた布団は必ず天日干しや布団クリーナーでキレイにしましょう。
臨床データも発表されており、特に寝具のダニがダニアレルギーの主原因であると判明しています。
睡眠中は1日のうち6~8時間も布団や毛布と密着しています。
寝返りなどで大量のダニアレルゲンが空気中に舞うため吸い込みやすいです。
日本とアメリカやヨーロッパの室内ダニ汚染量の違い
ダニは主に室内のチリダニと貯蔵庫ダニ(コナダニ)に分けられます。
日本の気候は温暖湿潤です。
それに加え近年の住宅は高気密化・高断熱が進みました。
ヒトにとってもダニにとっても住みやすい住環境となっています。
日本での室内チリダニによるアレルギー発症率は非常に高いです。
ダニの室内汚染量はアメリカやヨーロッパに比べて10~25倍も高いです。
コナダニは小麦粉などの食品につきやすくアナフィラキシーショックの主な原因になります。
この点については次の記事で詳しく説明しています。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、ダニの生態や特徴について主に次のことを解説してきました。
- お部屋に生息するダニの約80%がチリダニ
- ダニは気温20~30℃、湿度60~80%でよく繁殖する
- ダニが発生しやすい場所について解説
- 100匹のダニが4か月で10万倍に繁殖する推移グラフの紹介
お部屋の掃除や食品の保存に注意してアレルギー予防をしていきたいですね。
あなたもダニ活で、健やかな生活を送れるように一緒に頑張りましょう。
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